魚垣のある下地島は、沖縄本島から南西320kmにある宮古諸島の1島で、宮古島本島から、西へ高速艇で15分程度にある島が伊良部島で、下地島はこの伊良部島と橋でつながっている。
魚垣がある場所は、島の西部に広がる佐和田礁湖にある。約2km以上続く遠浅の海岸で、景勝地としても知られている。
この漁法は海から岸の方向へ両手の如く放射線状に石を積み、魚の逃口を1ヶ所造っただけである。石垣は波に崩れないため二重積みし、垣根の高さは水深に合わせてある。これは祖先が実生活より得た知識と経験を根底として日毎に築き上げ、積み重ねた生活の知恵である。「ナガキ」は歴史遺産・文化遺産として極めて価値の高い物といえる。
この魚垣漁は、いつ頃、誰によって始められたかは明らかでないが、1771年の大津波以後と想像される。住民は岩に隠れた魚や石を転して魚を獲ったが、このような経験を積み重ねる中で、石網(魚垣)を考案したと推察される。
魚垣は現在も漁具として使用可能な状態で保たれており、伊良部島を訪れる観光客が体験漁業などで使用しており、自然とふれあい伊良部島の歴史にふれるための場として、重要な役割を果たしている。